第172回『まちむら興し塾』 2019年11月19日
      
      
テーマ
 地域観光プランニングカレッジ参加体験記
          ウェルネスツーリズム in 三重県浜島

      コメンテーター
       
東洋大学 国際観光学科 丸田健悟 様
 
三重県志摩市阿児町鵜方 横山展望台
 
志摩市 浜島の風景 
 
    『まちむら興し塾』 勉強会の様子・参加者写真
 
 ● まえがき

 日本建築学会が文部省の支援を受けて実施している、「地域観光プランニ
 ングカレッジ」が伊勢志摩で開催され、そのカレッジにインターンシップ
 として参加した丸田君たちが「ウェルネスツーリズム」のテーマ地として
 浜島地区に着目して、取り組んだ体験記録と報告のご紹介です。

 
目次   (各欄クリック 各ページへ)
  ● 地域観光プランニングカレッジとは
   ● 開催場所について
   【地域プランニングカレッジ in 浜島の概要】
   お試し!浜島式ライフスタイル
   5.ウェルネスビーイングを応用した日記療法
   7.3週間プログラムの全体像図   
   8.まちでの気づき
    9.浜島なりきりプログラム
   10.運営体制
      ○ 宿泊 ゲストハウス・空き家
      ○ 滞在費用
  11.浜島なりきりプログラムの社会実験の経過・成果
  ◎ まとめ

  ● 地域観光プランニングカレッジとは

  公共性や公益性、地域視点を重視してきた都市計画やまちづくり分野の計画技術
  や進め方と事業性や観光客視点を重視してきた観光事業を融合した新しい観光の
  プランニングとマネジメントのあり方を、具体的なフィールドや地域づくりの専
  門家、地域で観光に関わるビジネスに関心のある事業市民とともに学ぶ場。
  
  (日本建築学会地域観光プランニングカレッジ小委員会の役割 HPより)
   ⇒ 学生と先生と地域の方々と一緒になって地域の課題を解決しよう!!
    
 具体的には…全国の7大学から集まった大学生と院生が4~5人が1チー         ムとなり、そこに助っ人で大学の先生が数人入り、地域の方々の話をお
      聞きしながらテーマに沿ったものを作り上げよう!!
  ● 開催場所について
  ○ 開催場所:三重県志摩市

   ○ 主な観光名所:横山展望台
          :志摩スペイン村
          :英虞湾・賢島

   ○ 交通:名古屋から近鉄特急で2時間
   
   ○ 名産品:伊勢海老、あおさ

   ○ その他特徴
      ① 賢島周辺に皇族御用達の高級ホテル
      ② アマンリゾーツの超高級ホテル
      「アマネム」

     ③ 英虞湾での真珠養殖が有名
     ④ 2016年賢島でG7
       (伊勢志摩サミット)開催

      ⑤ 全体的に過疎化が進んでいる
 
 
 【地域プランニングカレッジ in 浜島の概要
  ● カレッジの進行・日程
     1~2日目(9月10~11日):事前現地調査

   3~5日目(9月12~14日):グループでの現地調査、発表作り

   6日目(9月15日)     :地域の方の前で発表

  ● テーマ「滞在型ウェルネスツーリズム」
     課題 「志摩市で3週間滞在するウェルネスツーリズムのプログラムを作
         成」せよ。

           

     かつ、「浜島を基点に多島海・英虞湾の地域の文脈(歴史、文化、
     自然、産業、生活)をストーリーとして感じさせるアクティビテ
     ィを開発せよ」

  ● 今回のテーマを課題にした理由
    ① アマンと市の方針の影響が大きい

   アマンのコンセプト…富裕層に長期滞在者に楽しんでもらうため
    その土地ならではのアクティビティを提供する。

    ② 市の活性化の目標…ウェルネスツーリズムを取り込んで、活性化を推進
       したい
       ⇒この目標の条件に、浜島ならではの自然、施設、地元の人たちの活動
        ぶりがマッチしたので、「滞在型ウェルネスツーリズム」をテーマと
        して推進することにした。
  ◆ 志摩市観光マップ    http://www.ise-shima.or.jp/map/shima.html
 
    【「浜島の人の生活になりきる」プラン概要
 
    ここからは実際にグループで考えたプランの説明に入ります。

 この説明でたびたび出てくる浜島という地名は3枚目の資料だと鼻欠け
えびすなどがある左下の地区になります。

 

 まず、事前現地調査でこの浜島という地区を訪れたときに感じたのは街の
人の温かさです。この人たちを活かしたプランが立てられないかと考え、ウ
ェルネスツーリズムというテーマにも合わせて、
「浜島の人の生活になりきる」というプランにしました。

 

 大学生が考えるウェルネスツーリズムということで僕たちなりに考えをま
とめやすい「暮らし方、働き方といった現状のライフスタイルに変化を求め
ている人」をターゲットにしました。

 

 何かしらの悩みを抱えている訪れる人たちがポジティブシンキングを体験
して、新たなライフスタイルに向かい合うための「気付き」をみつけ、新た
な日常生活に活かしてもらうというのが目標です。

 

具体的には番のようになります。

このプランを構成するコンテンツは3つあります。

 

まずは、このプランの全体像を説明してから詳しい事を説明したいと思います。

 

週間のうち日間はメインのコンテンツです。

「浜島人なりきりプログラム」、その他の日にオプションコンテンツとフリ
ー観光を組み合わせるという形になります。

そして、体験をもとにして、気持ちの動きなどの日記を毎日書いてもらいます。

 

次にメインコンテンツの「浜島人なりきりプログラム」について詳しい説明
をします。

 

番につの例を上げました。

これらを週替わりで実施していきます。

 

日によって仕事内容が変わってくるということもありますが、それも一つの
楽しみになると思います。
 これらの浜島の人のお仕事になりきることでモデルになった人と交流を通
して、その人なりの豊かな人柄などにふれ、「気付き」、自分の精神的な糧
として、身につくよう
にもっていくのが目的です。

 

宿泊方法については商店街沿いにたくさんある空き家を活用しようと考えて
います。

 

プラン全体の費用についてはこの宿泊方法に関係してパターン作るように
想定しました。

 

ゲストハウス方式の場合は11万1千円、
素泊まり方式の場合は  15万3千円です。

 

◎ 以上のようなプランを考えました。

  プランの大まかな内容が先に思い付いたため、ターゲットとウェルネス
  ツーリズムの関連付け一番苦労しました。
  

 

また、発表をなるべくわかりやすく伝えるために省略した部分もあるのでわからないこと聞きたいことがありましたら遠慮な質問してください。

かなり具体的な部分まで想定はしていたつもりなのでその想定していた部分は答えます。

 

以上になります。

   お試し!浜島式ライフスタイル
   日常の生活をよりリラックス・快適な状態にする
  1.動機

浜島人の元気、魅力、暖かさ、ホスピタリティーの素晴らしさを知り、その秘訣を知りたいと感じ、その力を生かしたウェルネスツーリズムを考えたい

 →・6人の魅力的な方にインタビュー調査を行なった

  2.ウェルネスの捉え方 
    日常の当たり前の生活へのポジティブな姿勢が、精神的健康の増進のためには
    重要であると考えた。
  3.ウェルネスビーイングとは
    ウェルビーイングとはやりがい、自己実現といった、ポジティブな心理状況を
    指す。

    ウェルビーイング療法とはポジティブな体験を通して自分のネガティブ思考を
    改善する治療法。
   4.ウェルネス旅行 
    旅行しながら、自分を振り返り、ポジティブに分析、自己改善を図る
  5.ウェルネスビーイングを応用した日記療法 
      ◇ ⇒ 詳細Wikipedia 
    ◆ 図1 ウェルビーイングを応用した日記療法の流れ

日記   

STEP

自分にとってのポジティブな体験を自分で見極める

             カウンセリング

STEP2

自分の思考の悪い癖を自分で見極める

  カウンセリング

STEP3

今後の決意表明を鼻欠けえびすの絵馬に残す

  6.ターゲットと目標
    暮らし方、働き方といった現状のライフスタイルに変化を求めている人

   ポジティブシンキングを身につけ、新しいライフスタイルに向かうための
   気づきを得て快適な日常生活に戻る
  7.3週間プログラムの全体像図 
    ◆ 図2 浜島式ライフスタイルの全体像
マストコンテンツ オプションコンテンツ フリー観光
浜島人なりきりプログラム  ・まちの人へのタッチポイント
  づくりプログラム
自由に観光してください
 ・おすそわけ
 ・お呼ばれ演出
 ・まちへ助っ人プログラム
 ・何もしないを楽しむための
            情報提供
毎日記入 ▲ 
日記療法(セルフチェック)
カウンセリング カウンセリング カウンセリング
 ◆ 図3 3週間プログラムの流れ
 Step1
  1週間 
   1日目 カウンセリング浜島人なりきリプロジェクト
   2日目 フリー観光
   3日目 浜島人なりきりプロジェクト
   4日目 浜島人なりきリブロジェクト
   5日目 何もしないを楽しむための情報提
   6日目 タッチボイントづくリプログラム
       →おすそわけ
       ・およばれ演出
   7日目 浜島人なりきリブロジェクト中間
 Step2
  2周目
  14日目  カウンセリング
 Step3
  3週間目
   ・振り返りカウンセリング
   ・今後の決意表明表と地元の人との飲み会 
  8.まちでの気づき

● 調査中にまちの中でふれあった人たち
  ・まちで気さくに話しかけてくれた

  ・たくさん差し入れをくれる

  ・歓迎BBQで多くの個性的でパワフルな方が来ていた

 
  9.浜島なりきりプログラム 1週間単位ライフスタル
浜島人 人柄・場所柄・気づき プログラム内容
 ライフスタイルモデル        No.1

  町の人を思って

  宇気比神社
   宮司 横山さん
 浜島思いのパワフルな宮司  

      ▼ 

 地域全体に思いを馳せる
 ことって楽しい!プログ
 ラム内容

 4時半 起床
 5時半 本殿の清掃
 6時前 朝の日供 
  ・お供えと太鼓、地域の人の   ためにお祓いや祝詞を行う
  ・境内の掃除・戎神社の掃除
10時 自主的に気が付いたとこ
    ろを掃除する
12時 昼食を一緒にとる


  宇気比神社
  ライフスタイルモデル
       No2
 
 渡船業 岡野さん
 楽しんで働く海の男  
   
        ▼

 仕事ってこんなに自由に
  できるんだ!
 
釣り堀へ 笑顔で案内

 5時 渡船業のお客さんをい
    かだに送る
 6時 筏の修繕・整備、貝の
    養殖に関する作業 

   自分でやりたいこと
 8時 簡易郵便局に出勤、業
    務を行う
 9時 弁当を配達する 
12時 ランチを一緒に食べる

 
 ライフスタイルモデル        No4 

 まるじん本舗
  駄菓子や 柴原さん

  誰もが自然と、居心地のい
 い空間に引き寄せる人柄 
 
     ▼

 コミュニケーシヨンって気
 張らなくていいんだ!

 小学生とシニアとの交流の 場作り


 8時半 お店番 
     お客さんとの交流
 
 12時~ 昼食を―緒にとる
   
     
  10.運営体制
 
   ○ 宿泊 ゲストハウス・空き家

    コンセプト:「日常に暮らすように泊まる」

Step 1 
  浜島へ長期滞在して、リラックスしながら、自分の生活・行動・考え方を
  毎日日記に書き込みして、振り返り、問いかけてみる

       Step 2
       → 滞在することで心身とも癒され、元気に日常生活に戻る

   ○ 滞在費用
①プログラム体験費用   4,000円X12日
     = 48,000円
 
 ゲストハウス宿泊   3,000円X21日
     = 63,000円
 ①+② 111,000円
③ 空き家宿泊   5,000円X21日
     =105,000円
 ①+③ 153,000円
   11.浜島なりきりプログラムの社会実験の経過・成果
 ◆ 概要  ◆ モニタリング内容
   ・実施内容
    :浜島人の一人を体験する 
 ・受け入れ側の負担の大きさ
   ・実施期間 :一週間  ・スケジュールは適切か
   ・モニタリング方法
    :参加者の日記の分析
 ・自分を見つめなおせる
   ・アンケート
    (参加者と受け入れ側)
 ・価格設定が適切か
  ● 11-1 浜島のメリット
     ・よそ者の視点から、新たなまちの魅力を発見できる

  ・まちのファンが増える

  ・まちの暮らし、産業を支える

  ・人手にもなりうる

   ● 11-2 訪問者のメリット 
     ・浜島人の暮らしを疑似体験できる

  ・ポジティブシンキングになれる

  ・第二の故郷が得られる

 
   
  浜島の空き家 ゲストハウスに 浜島の路地
   
 何もしない日 のんびり読書 何もしない日 温泉に浸る 
   
 日記をつける  何もしない日
   
 カウンセリング  カウンセリング
   
 浜島ならではの味覚 てこね寿し  浜島ならではの味覚 伊勢エビ
   
 人とのタッチポイントプログラム
農業体験
  人とのタッチポイントプログラム
林業体験
   
 人とのタッチポイントプログラム
農業体験
 人とのタッチポイントプログラム
漁業体験
   
 人とのタッチポイントプログラム
農業体験
 何もしない日
   
 古民家 ゲストハウス   古民家 ゲストハウス
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 ◎ まとめ

  ウェルネスツーリズム・旅行として浜島の人とあれあいながら、いろいろなコト体験
 をし、浜島に滞在して、その間に日記を毎日書きながら自分を見つめ直して、自分の欠
 点・弱さに「気付き」、改善の方向性をつかみ、帰宅して実生活で活用するための旅と
 いう前提で、進められました。

  普通の旅人は、癒し、その地ならではの自然、伝統文化に触れ、さまざまな体験をし
 て、各地域の人たちとふれあい、地産地消の素材で調理された食事を堪能することを楽
 しみに目的地に訪れるもので、旅先で日記を各日とはいると思いますが、自分の日常の
 言動・精神状態を分析して、弱点をみつけることなどを目的で訪れる人は皆無といえる
 でしょう。

  普通の人の日記には、その日、楽しんだこと、失敗。おもわぬアクシデント、また、
 その日の食事内容や感想を書くもので、果たして、精神科医のカルテのような、自己反
 省しながら書く人、また、このプランを求める人はいるでしょうか。

  一言で言えば、「ノイローゼになっている人向けの旅プラン」としか言いようがあり
 ません。しかも、プランの随所にコンサルの文字が見られます。
  この3週間のプラン中、コンサルタントが見守ることが可能ですか? 

  地域活性化の基本は、交流人口(旅人)を増やす、地域に経済効果をもたらすもので
 すが、上記条件にマッチした客層をどのように探し、アプローチすることができるかは
 全く見当が付きません。

  このテーマでの事業がどのようにして継続され、ビジアルなプラントして実現できる
 か注視したいと考えます。

  まずは事業在りきでスタートし、テーマを考える前提は交流人口を増やすために、さ
 まざまなツーリズムの価値を活用することなのに、テーマをむりむりに浜島の現状を取
 り込んだという印象です。
 
  学生の皆さんが一生懸命取り組んだことは理解できますが、この事業推進のアドバイ
 ザーを含めて、陽が当たるように、見直して頂くことが必要ではないでしょうか。
 
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 『まちむら興し塾』&二次会
今日の勉強会参加者全員  
 
後列 坂井さん、丸田君、上松さん、宮川さん、石井さん、星さん、宮林さん、長畑さん
前列 伊籐さん 長坂、飯田さん
 
丸田君 こだわりを説明中 
 
 講演中
 
講演中 
コメンテーター 丸田君  
伊籐さん 
上松さん
宮口さんん 
宮林さん 
3年生 坂井さん 
二次会 
 
二次会全員
左手前から 長坂、丸田君、伊籐さん、星さん
長坂、丸田君  伊籐さん 星 さん 
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  NPO法人ふれあいまちむら興し塾 

   270-0034 松戸市新松戸3-222-203
    TEL 047-330-4421 FAX 047-344-1993

       E-mail: ls-plan@lapis.plala.or.jp 
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   http://www.honobono-taiken.net

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